韓国専門家が見たエネルギー事情・・「ドイツが脱原発すると言えるのは、原発70%のフランスから電気を輸入できるからです」

電気などエネルギー関連でいろいろ記事が増えていて読んでみましたが、去年12月21日の記事をチョイスしてみました。韓国は他国からエネルギー(電気)を「引いてくる」ことができないので、各先進国が言っている再生エネルギーに頼るわけにはいかない、というのが主な内容です。ドイツが脱原発について言えたのは(確か、これも時期を遅らせたと聞きますが)、原発大国であるフランスから電気を引いてくることができるからである、とも。

原発と火力エネルギーをおろそかにすると、今のヨーロッパみたいに大変なことになるとするこの主張は、日本にも当てはまる部分がありそうです。ソースはソウル経済の記事で、ユ・スンフン ソウル科学技術大学未来エネルギー融合学科教授の見解です。天然ガスなどに関する内容もありますが、引用部分は主に電気関連としました。また、韓国電力公社の電気料金問題においても、教授は「衝撃を想定して、いまの2倍には上げる必要がある」と言い切っています。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・「グリーンフレーション(greenflation)」。環境にやさしいグリーンと物価上昇を意味するインフレを合わせた新造語で、2年目も続いている世界的エネルギー大乱を説明する核心キーワードだ。炭素中立(※カーボン・ニュートラル)、エコなどが話題に浮上し、各国は太陽光・風力への投資を拡大したが、逆に化石燃料依存度が高くなり、ガス・石油価格の暴騰を引き起こした現象をいう。ユ・スンフン ソウル科学技術大未来エネルギー融合学科教授は21日ソウル経済とのインタビューで、「エネルギー転換という用語を作ったヨーロッパは、ロシアからガス供給が切れ、夏の温水供給を中断して電気料金を5~6倍引き上げなど、事実上、エネルギー危機との戦いに突入した」とし、「エネルギー『孤立島』である我が国は、ヨーロッパの緊急事態を他山の石にしなければならない」と強調した・・

・・欧州は、「私たちへのガス・サプライチェーンを切れば、ロシアのほうがダメージを受けるだろう」と判断し、強気で出た。米国は、ロシアにエネルギーを過度に依存してはならないと話してきたが、ヨーロッパは聞かなかった。 その結果、負けた。ウクライナ事態が世界エネルギー危機の起爆剤として作用したが、根本原因はそこではない。今はサプライチェーンレベルの「2次」危機であり、「1次」の危機はすでに昨年から始まった。

 

1次は、再生可能エネルギーを信じすぎたことから始まった。ヨーロッパは北海の海上風力発電への依存度が非常に高い。だが、昨年(※2021年)は特に風が吹かず、出力が著しく落ちた。泣きっ面に蜂というか、干ばつまで重なった。ノルウェーやスウェーデンなど北欧は、水力発電規模が途方もなく、残りの電力を輸出してきたが、余裕がなくなってしまったのだ。結局、イギリスは昨年ブラックアウト事態を経験した。ヨーロッパは需要抑制のため、電気料を昨年初めからいままで5~6倍ほど上げた。5~6倍というのは簡単だけど、これは事実上、戦時レベルの衝撃だ。今夏(※2022年)は給湯まで切った。電気料が高すぎるので、冷蔵庫に入った飲料水と常温の飲料は価格から異なる。ヨーロッパの電力大乱を他山の石としなければならない・・

・・(※新再生エネルギー拡大は必須だと思われるが、件に「炭素純排出ゼロ」は可能だろうか、という質問に)条件は難しいが、すでに宣言したうえ、エネルギーと産業パラダイムが変わっているので、できることまでしなければならない。ただ、先進国もエネルギー危機の前に、多少スタンスを緩めている状況だ。 脱石炭同盟に米国と日本は署名しなかった。原子力をより積極的に活用する必要もある。フランスがそんな方向だ。

 

脱原発を宣言したドイツは、私たちのモデルにはなれない。イツはいざとなればフランスから電気を輸入すればいいので、脱原発宣言が可能だった。我が国は、エネルギーの「孤立した島」だ。中国と日本から電気を輸入することはできない。韓国が先進国より先行する必要はない。昨年2月、石油メジャーの本山である米国テキサスも停電事態を経験したが、これはエネルギー自給に対する過信で、州間の電力網をつなげておかなかったからだ。

炭素中立履行のため原発を積極的に活用しなければならないが、だからといって原発70%のフランスレベルまで引き上げれば、むしろブラックアウト事態が来る可能性がある。停電は電気が不足しても発生するが、逆に過剰生産しても発生する。フランスは残りの電気を輸出することができるが、私たちはそうすることもできない。また、フランス原発は出力を20%ほど調整することができるが、我々は出力調整が不可能だ。私たちの原発モデルは、出力を減らすと安全に問題が発生する。新再生エネルギーが多い済州島(※昔から風が強いことで有名です)の新再生発電所が、今年に入って約80回も出力制限(電力生産遮断)を行った理由も、ブラックアウトを防ぐためだ(ソウル経済)・・>>

教授は、韓国電力公社の赤字問題で、「料金を今より2倍ほど引き上げるのが合理的だ。韓電はいったん年末に50ウォンほど上げるという立場だが(※実際には13.5ウォンの引き上げにとどまりました)、それでは何の解決策にもならない」としながら、ある程度の衝撃を受け入れる覚悟が必要だ、と話しています。それが「節約する」という強力な信号弾にもなるだろう、と・・・・・と、とっとっと、今日はこれで更新終了です。次の更新は、明日のいつもの時間(11時頃)になります。

 

 

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