売れ残りマンションが急増中の韓国、建設業界は「売れ残りのマンションは政府が買ってくれ。大統領もそう言ったじゃないか」

韓国で、未分譲(主にマンション)物件が増えていることは、前にもお伝えしました。それは、ま、売れない物件もあるでしょうに、と思ってしまえばそれだけですが、韓国ではこれは大ニュースです。マンションが売れきれないとは、世の中にそんなことがあるはずがない、後◯部が西から昇ったとでもいうのか・・ほどじゃないかもしれませんが、とにかく大きなニュースになります。なにせ、買うにも「請約」といって、「抽選」が必要ですから。しかもその優先順位まで決まっているありさま。

ただ、すべては金利が低かった時代の話。最大の再開発と呼ばれた「オリンピックパークフォレオン(遁村住公)」が契約未達になるなど、未分譲、すなわち売れ残りが増えています。ご存知、プロジェクト・ファイナンスといって、マンション団地というプロジェクトだけで実物は何も無しに資金を調達するのが一般的なので(海外では、政府レベルの確実な保証が無いかぎり、PFは一般的ではありません)、売れ残りが増えると債務を返済できなくなります。しかも、施行社(プロジェクト総括会社)だけでなく、施工社(実際に建設した会社)も資金調達のための保証人(社)になるのもまた一般的。

 

どこからでてきた数値かは分かりませんが、マンション団地の少なくとも7割は売れないと、PF返済は難しいという話もありますが・・あの最大の再開発とやらが契約率70%だそうですから(これも実際はもっと低いのではないかという意見が多いですが)、知名度の低いところはさらに大変でしょう。で、ここから「私が去年12月に読んだ記事(マネートゥデイ)の内容ですが、去年10月時点で、公式にでている未分譲数字は、約4万7千世帯。これで「1年前の3倍」ということでした。

しかし、未分譲が多いと知られると、先に契約した人たちが逃げてしまう(値上がりを期待して買ったので、値上がりしそうになかったら損をしてでも契約をやめる人たちが多い)ので、「ま、まだ未分譲ではないからね」としている場合が多く、特にマンション団地分譲が多い首都圏でこのような動向が強いため、実際には全国で6万戸は軽く超えているだろう、というのが一般的な分析です。ちなみに、建設業界では今までの経験から、5万戸を「危機」ラインと見ている、とも・・というのが去年12月の記事の主な内容でした。

 

で、今日、去年12月基準データをもとにした記事があったので読んでみましたが、「公式」未分譲が68107戸だ、とのことでして。同じく、「隠れ未分譲」も結構あるとすると・・なんか、いきなり増えました(ソース国民日報)。建設業界からは「この未分譲物件は、政府が買い取るべきだ」という主張がでていて、政府側が「いやいやいや」と公式にことわった、とも。なにがあったのかと言いますと、いつものパターンです。尹大統領がちゃんと調整せずに「その場の人たちが喜びそうなこと」を曖昧に言い、「その場」にあたいする人たちが「言ったことちゃんと守って」と言い出し、政府関係者たちが「うわあぁぁ」して、数日後に「大統領の発言はそんな意味じゃなかった」とビシッと発表。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・先月、全国の未分譲マンションが7万戸に迫った。政府が危機ラインと言及した6万2000戸を超えたのだ。建設業界では、未分譲を政府が買ってくれという要求が出ている。政府は、分譲価格の引き下げと建設業界の努力などが先行しなければならないという立場だ・・・・国土交通部が1月31日公開した「(※2022年)12月住宅統計」によると、先月末基準全国の未分譲住宅は6万8107戸で、その前月より17.4%(1万80戸)増加した。このような未分譲物件は、2013年8月(6万8119号)以後、9年4ヶ月ぶりに最も多い数値だ。1年前だけでも、未分譲は1万7710戸だったが、1年で4倍近く増えたのだ・・

・・不動産業界の雰囲気は重い。政府が大々的な不動産政策緩和に乗り出したが、高金利の余波で、分譲市場の回復傾向が遅く、未分譲物量の増加も当分の間は続く見通しだからだ。今年に入って申請を受けた全国11ヶ所のアパート団地のうち、8つが未達状態で、年末まで、地方だけで8万戸以上の新規分譲が予定されている(※それぞれ違うとは思いますが、プロジェクト・ファイナンスなどいろいろあるので、予定を変えるわけにもいきません)。業界では、ユン大統領が1月3日国土交通部業務報告席で「政府公共機関が未分譲住宅を買い入れたり借りたりして、脆弱階層に賃貸する方案も検討してほしい」とした発言を置いて、未分譲物件を政府が買い入れてほしいという要求が 大きくなっているのだ・・>>

 

で、引用部分にはありませんが、長官が「そんな予定は無いよ」と言い、一応公式にことわりました。でも、この要求はさらに強くなるでしょう。なにせ、大統領のこの発言もあるし、2008年、リーマン・ブラザーズ事態などでいろいろ揺れていた頃、韓国の未分譲は16万5000戸まで増えて、実際に政府が10万戸以上買い取ったことがありますので。

 

 

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年9月2日)からですが、<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>です。文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察しました。政権交代、保守政権などの言葉が、結局は仮面が変わっただけだということ、率直に書きました。 新刊<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」。これが、本書の全て、帰化の手続きを進めている私の全てです。 刊として、日本滞在4年目の記録、<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >と、新しく出現した対日観について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。 ・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。