韓国、求職そのものをあきらめる青年が増え、失業率(拡張概念)21.7%・・「やはりマンションを買うしかない」は変わらずか

昨日から、拙著「韓国の借金経済」のご紹介を載せています。ブログでは主にデータを紹介する方でしたが、本にはその心理、すなわち「なぜマンションを買うのが『身分上昇』になるのか」がメインになっています。一言で、それは「どうしようもない」という現実と、「私はすごい」という理想のギャップによるものです。これは、「普通の競争においては、理想を現実にできる方法がないので、競争そのものから降りる」人が増えているとも言えます。競争が激しすぎるという側面も分かりますが、もう少し『ハードル』を下げる必要もあるのではないでしょうか。少しずつ、段階的に上げていくこともできるでしょうに。

それができないから、ブランド品の消費で世界1位(家計債務でもIIF基準で世界1位、BIS基準で世界3位)で、『買った』という写真を載せるためだけに高級ブランド品の『空の箱』が数万円で取引される、不思議な世界が広がるわけです。その影響、でしょうか。実際、競争というか、『求職』そのものをあきらめる人たちが増えています。彼らは求職をしていないので、失業者にはカウントされません。公式統計では数万人規模だけど、『青年の3人の1人は白手(手が白い、すなわち仕事をしない人)』という言葉が出てもう久しいところ。詳しく集計する方法もなく、関連団体などは詳しい規模の集計を作成すべきだと主張しています。

 

シンギョンア ハンリム大学社会学科教授の分析によると、この青年失業率には不思議な部分があります。他の年齢層より、雇用率が高いのに失業率も高い。普通、雇用率が高くなると失業率は下がります。教授はこれを『実態(求職をあきらめた人たちも含めて)』が反映されていないからだとしながら、いくつかの問題を指摘しています。京郷新聞、先月30日の記事ですが、中には「身分上昇」に関連した話もあるし、新刊と繋がっている部分もあるので・・というか、私より書き方は1800兆倍やさしいですが・・エントリーしてみます。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・青年の年齢定義からして、国連と西欧の多くの国々が「15~24歳」「15~29歳」を採択しているのとは異なり、我が国は青年基本法(2020年制定)で19~34歳を青年と規定してある。兵役を済ませ、大学院まで卒業し、各種ライセンス取得など就職準備までするので、30代半ばまで不安定な状況にあるという意味だ。男を基準にしているのは言うまでもない。したがって、統計庁発表によると、2021年韓国の19~34歳の青年人口は1072万1000人で、全人口のうち20.7%に達する。韓国の若者たちは、世界で最も長い『青年期』を過ごしているわけだ。

 

ところが、2021年5月基準で19~34歳の青年層の雇用率は63.8%(15歳以上の人口61.2%)、公式失業率は7.8%(15歳以上の人口4.0%)だ。全人口からして、雇用率が高いのに失業率はさらに高く、ほぼ2倍だ。特に拡張失業率(求職をあきらめた人、非自発的失業者などをすべて合わせて計算した失業率のこと)は21.7%で、新型コロナ以前の2017年から、22%前後だった。2022年、青少年政策研究院の報告書によると、19~34歳の青年10人のうち4人は自分が貧困だと考えており、10人のうち3人はそこから抜けだせないと思っている・・

・・青年層が持っている未来へ見通しも明るくない。「社会移動可能性(※いわゆる階層移動)」に対する認識自体が変化してきた。青年層の社会移動可能性に対する期待も、どんどん下がってきた。「社会調査」によると、2009年には30代男性の37%、30代女性の34%が、世代内の階層移動の可能性が高いと見ていたが、2021年にはそれぞれ25%、23.9%まで下がった。青年層が持つ社会移動に対する認識がこう変わっているのだ。特に女性のほうがそうである・・>>

 

しかし、教授は優しいですね・・私は、「マンション様にすべてをかける」とか、「私がすごくない世の中はまちがっている」とか、「大金持ちになれなかった親が、すべての問題の始まり」とか、それで債務が1年で数倍に膨れ上がったとか、ヨンクルヨンクル(白目)、そんなふうにしか見えませんし、実際、そう書きましたが。すみません。それに、私はこの「34歳」というのも、ごまかしだと思っています。兵役があるとしても、昔は3年近くだったからともかく、最近は2年(陸軍基準)。

34歳までを青年にしたのは、その分、表向きのデータがよくなるから、ではないでしょうか。それでも拡張概念で21.7%ですから、もう意味ないでしょうけど・・とにかく、李明博政権から続いた「雇用率が高くなってきたのに失業率も高くなる」不思議現象は、まだまだ残っているようです。文在寅政権で高齢者対象に「簡単なお仕事」をばら撒いて、この問題は(データ上では)ある程度解消されたと思っていましたが・・高齢者以外ではまだ残っていたわけですね。彼ら、全員就業者にカウントされますから。

 

 

おかげさまで、また新刊の紹介ができるようになりました。今回は、マンションを買わないと『貴族』になれないと信じられている、不思議な社会の話です。詳しくは、新刊・準新刊紹介エントリーを御覧ください。経済専門書ではありませんが、ブログに思いのままに書けなかったその不思議な「心理」も含めて、自分なりに率直に書き上げました。以下の「お知らせ」から、ぜひ御覧ください。ありがとうございます

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   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年3月1日)からですが、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。・新刊として、文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察した<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>、帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。