結局、チップ4はどうなったのか・・韓国政府閣僚「チップ4と米国の対中半導体輸出措置は関係ない」、半導体産業協会「私たちがチップ4に入らないと、むしろ中国が困る」など

結局、チップ4はどうなったのか、関連した動きが見えません。いくつか記事をチェックしてみると、何かの国際会議や多国間協議、外国メディアとのインタビューなどでは、尹大統領がチップ4(他いろいろ)のような、西側主導のサプライチェーン強化に参加する重要性を強調しています。しかし、本ブログでもいくつかエントリーしましたが、国内での動き、関連産業関係者たち、さらには長官級(閣僚など)の発言などは、とてもそうは思えないものばかりです。「チップ4は同盟ではない。米国の対中半導体輸出関連措置とも関係ない」、「私たちがチップ4に入らないと中国が困る」などなどです。

まず、日本の経済産業省のような立場の「産業通商資源部」のイチャニャン長官ですが、7日、「チップ4は同盟ではなく協力体で、米国の対中半導体輸出関連措置とは別の事案で見て接近している」と話しました(ニュース1より)。国会の経済分野対政府質疑でのことです。チップ4は韓国、米国、日本、台湾4カ国の半導体サプライチェーン強化のための「協力チャンネル」であり、同盟ではない、と。言うまでもなく、「協力体」は「同盟」に比べて、「特定国家の牽制のためのものではない」というニュアンスになります。以下、各紙、<<~>>が引用部分になります。

 

<<・・李長官はこの日午後、国会経済分野の対政府質問で「チップ4は韓国、米国、日本、台湾4カ国の半導体サプライチェーン強化、技術開発、人材養成、情報共有協力チャンネル」と述べた。いわゆる「チップ4」は米国が中国との競争で利点を持つため、韓国・日本・台湾にチップ4協議体を設けてグローバルサプライチェーンを強化しようと提案したと伝えられているが、その実体が不明であるという見方もある。まだ尹政権は公式の答えを出していない状態だ。 政府は、同盟というよりは協力チャンネルと見て加入するかどうかを調整しているようだ(ニュース1)・・>>

なぜ実態が不確かだとされているのか、その答えがこの中にあると見てもいいでしょう。文政権がクアッド(QUAD)関連で「特定国家を牽制するためのものには加入しない」としていましたが、基本的には同じではないでしょうか。長官は1月23日にもチップ4関連議論について、「半導体全体の世界的なサプライチェーンが稼働するという次元で、中国も理解できると思う」とし「私たちは特に公式的な意見を出していないが、水面下では中国と相互疎通している」と話したことがあります。

 

この発言だけでなく、とにかく「中国も理解するだろう」ということがチップ4関連発言に共通しています。協力体という表現も、結局はそのためのものではないでしょうか。ここからはMBCですが、半導体産業協会の専務は、「私たちがチップ4に加入すれば、中国にもっといろいろ売れる。だから、私たちがチップ4に加入しないと中国も困るだろう」という謎の見解を述べました。アンギヒョン専務は「私たちはメモリー最強」「米国の対中半導体輸出関連措置は、私たちの製品には大して問題ない」としながら、こう話しました。

<<・・(※中国に半導体関連60%の輸出をしているのに、チップ4に加入すると対立することになるのではないか、という番組進行者の質問に対して)米国は装備、日本は素材、韓国はメモリ半導体そしてシステム半導体ファウンダリー、台湾はファウンダリー、この4つの国がサプライチェーン安定化のために集まって情報共有もして議論をしてみよう、そういうのがチップ4同盟です(※この人は同盟という言葉を使っています)。むしろ私たちがチップ4に入らないと、中国はもっと困ることになります。そう、これを知らなければなりません。韓国と米国は、半導体製造のための協力国です。韓国と中国との間は半導体を供給、需要の関係です。半導体自体について、関係が異なるわけです・・

 

・・ところが、私たちがチップ4という協力関係の構築に参加しないなら、私たちが半導体製造施設の構築においても遅れをとることになるので、製造が萎縮します。中国の立場からすると、私たちの半導体供給が必要です。しかし、私たちが萎縮したら、その足りなくなった分を誰が取るのでしょうか。 アメリカが持っていきます。アメリカと中国の関係としては、いろいろ不便でしょう。むしろ私たちがもっと便利になります。私たちが半導体製造をより良くすることは、中国の立場にも有利なのです(MBC)・・>>

お、おう・・といったところでしょうか。このようなスタンスが、チップ4を実体のないものにしているのではないか。そう思ってしまう今日この頃であります。

 

 

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