韓国メディア「素材・部品・装備の国産化宣言から4年・・半導体分野の核心部品、金額でも割合でも日本からの輸入が増加」

韓国では「素部装(ソブジャン)」ともいいますが、素材、部品、装備。2019年、文政権は国産化を掲げ、相応の成果を出しているという記事が相次ぎました。今日のソース記事毎日経済も、確かに日本からの輸入額は減っている、と報じています。しかし、ちょっと範囲を広げて分析してみると、なぜか核心部品関連ではむしろ日本から輸入に頼る割合が増えている、とのことでして。記事は、「約4年が経つのに、効果が出ていないのではないか」としています。

記事は、発表される関連分野の日本からの輸入額などを見ると、確かに減ってはいる、としながらも、メモリーなど各種半導体の回路、ダイオード・トランジスタなど類似半導体素子まで含めての「電子部品」項目として見てみると、総電子部品部門の輸入額において、日本からの輸入は11.8%(2022年)で、これは国産化宣言の直前(2018年)の9.6%に比べ、むしろ増加した数値である、と報じています。記事は(直接こう書いてあるわけではありませんが)発表される内容を合わない、なぜだ、というニュアンスになっていますが・・ここは後でツッコミを入れるとして、以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・昨年、電子部品部門の、日本からの輸入額は約96億1110万ドルと集計され、全電子部品部門の輸入額(816億6126万ドル)の11.8%を占めた。 これはソブジャンが話題になる直前の年である2018年(59億9651万ドル)より、輸入額においても、全体電子部品部門の輸入額の割合(9.6%)においても、ともに増えた数値だ。電子部品部門は、メモリ半導体など各種半導体の電子集積回路とプリント回路基板、フラットパネルディスプレイ、ダイオード・トランジスタなど類似半導体素子などを含む領域のことで、主力競争品目である半導体分野の核心部品を包括している部門である(毎日経済)・・>>

引用部分にはありませんが、全体部品の約60%を日本から輸入していた半導体装備メーカーA社の人は、輸出管理変更の影響で、部品の約30%が調達できなくなり、関連した売上は15%も急落した、と話しています。米国、欧州などに『輸入先の多様化』というのは簡単だけど、すでに製造設備とテスト設備を日本の部品に合わせて稼働してきたので、他の国の部品に急に置き換えるには、相応の設備投資や人件費など関連費用が急増してしまうそうです。

 

船舶用材料製造企業B社の代表さんの場合は、「欧州・米国などで代替原料を探してみたが、欧州の場合、中国産製品を『表紙だけ変えた』事例が多く、原材料の均一な品質を得ることができなかった」と話しています。しかも、米国の場合はいろんな関連物質が安保関連で手続きが大変だし、米国にせよ欧州にせと、現実的な代替先を見つけることはできなかった」、「国産化も検討したが、国内需要だけでは市場需要が合わないという判断で、できるだけ日本の在庫を確保する方に戦略を修正して、対応している」とも。

で、なんで表向けに発表される数値では輸入が減っているのに、実際には増えているし、現場の声もジャパンジャパンなのか。これについては、2022年2月5日、朝鮮日報が、国産化効果は『錯視効果にすぎない』と報じています。記事は、イ・ハング自動車研究院研究委員など専門家の指摘も紹介しながら、(文政権は国産化の成果を話しているが)「ノーベル化学賞受賞者を何人も出した日本は、核心技術特許を相当な数、掌握している」、「日本の技術特許を避けながらソブジャン国産化をするのは、容易ではない」と書いています。

 

<<・・国内ソブジャン業界も、「第3国にある日本企業の工場を通じて購入する『迂回』が増え、対日輸入統計では分からない、いわば錯視効果が生じている」と指摘している。実際、ソブジャン部門において、日本に頼る割合はあまりにも大きく、何も変わってない・・・・2019年の日本の輸出措置関連品目3種の一つだった「フォトレジスト」の場合、日本からの輸入に頼る割合は2018年の93.2%から昨年79.5%に減った。代替供給網としてベルギーからのフォトレジスト輸入額を10倍以上大きく増やしたからだ。

昨年ベルギーの輸入比率は15.8%を占めた。文政権は、「これは大きな成果である」と発表した。しかし、これをめぐって日経新聞は「韓国がベルギーから輸入した分のフォトレジストは、日本JSRのベルギー工場で製造したもの」とし「欺瞞的な数値発表である」と報道した。製造国が変わっただけで、結局は日本メーカーの製品だということだ・・>>

 

 

おかげさまで、また新刊の紹介ができるようになりました。今回は、マンションを買わないと『貴族』になれないと信じられている、不思議な社会の話です。詳しくは、新刊・準新刊紹介エントリーを御覧ください。経済専門書ではありませんが、ブログに思いのままに書けなかったその不思議な「心理」も含めて、自分なりに率直に書き上げました。以下の「お知らせ」から、ぜひ御覧ください。ありがとうございます

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年3月1日)からですが、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。・新刊として、文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察した<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>、帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。