止まらない「債務」関連記事・・今回は政府債務(D2)とブリッジローン

家計債務、自営業者債務(韓国の場合、自営業者債務は家計債務にカウントしません)、企業債務、政府債務、プロジェクトファイナンス債務・・去年10月あたりから、各種債務関連記事が続いています。しかも、そのリスクはかなり具体的なものであり、最近は本ブログでも取り上げた「セマウル金庫」のこともあって、特にブリッジローン関連記事が増えてきました。本エントリーはファイナンシャルニュースの記事をソースにしています。ここでいう「PF関連ブリッジローン」とは、プロジェクトファイナンスの一部とも言えますが(すべてのPFがブリッジローンを含めるという意味ではありません)、プロジェクトの初期段階に、土地購入などのため、高い金利&短期で借りたローンのことです。これは、プロジェクトがある程度進展してから、言い換えればある程度はそのプロジェクトの信用度が上がってから、もう少し安定的なローン、いわゆる「本PF」に乗り換えることになります。言葉の通り、橋(ブリッジ)ローンです。

また、いままでは比較的安定しているとされていた政府債務が、「基軸通貨、ハードカレンシーを持っている国ではなく、それ以外と比べないと現実的な分析ができない」という主張のもと、問題視されるようになりました。前にも一度取り上げたことがありますが、ドル、ユーロ、円などの通貨を使う国は債権が人気があるので、そんな国と政府債務を比べてもさほど意味がない、というのです。朝鮮日報(朝鮮BIZ)が定期的に載せている内容で、記事は『IMFが先進国と分類している35カ国のうち、ドル、円、豪ドルなどを使わないノルウェー、ニュージーランド、デンマーク、マルタ、スウェーデン、シンガポール、アイスランド、イスラエル、チェコ、韓国、香港の11カ国』に範囲をしぼらないとならない、としています。そして、その中で、韓国の政府債務が、他の10カ国平均を初めて超えた、とも。以下、各紙、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・最近、不動産PFで金融当局はもちろん、金融圏全体が緊張する中、不動産PF満期到来金額のうち半分以上のブリッジローンであることが分かった。不動産PF事業では、ブリッジローンは事業初期段階に起こる高金利短期ローンで、土地購入残金や土地購入契約金を払うときに組む。だが、最近ブリッジローンから「本PF」に転換できないことからさらに一歩出て延長すら容易ではない状況だ。金融業界によると、ブリッジローンで最も重要なのは本PFへの乗り換えだ・・・・本PFに転換できない場合、満期延長または資金回収が行われる。施行会社(※プロジェクト総括会社)の現金が十分でなく返済できなかった場合、借主が大きな損失を負担するしかない。満期延長出来たとしても、施行会社は高金利負担が続くことになる。

ブリッジロンの満期到来時期は今年上半期に集中している。 実際、信用評価機関によると、証券会社(※第2金融圏になります)の場合、年末までに満期が到来する金額約14兆ウォンのうち58.4%がブリッジローンだ。貯蓄銀行でも、全事業場のうち1回以上満期延長された事業場の割合として、ブリッジローンが24%、本PFは15%。今年上半期、ブリッジローンの場合は約64%、本PFの場合は約38%が満期到来する。キャピタル社(※こちらも第2金融圏になります)もブリッジローン約90%の返済期間が1年以内に集中しており、満期集中度が高く、本PF転換ができないと、高いリスクがあるこれにより、貯蓄銀行や証券会社、キャピタル社の資産健全性が、今年上半期から本格的に下がるだろうと懸念されている(ファイナンシャルニュース)・・>>

 

<<・・16日(※今日)、国際通貨基金(IMF)の「財政点検報告書(Fiscal Monitor)」によると、IMFが先進国に分類する全世界35カ国のうち、我が国以外の非基軸通貨10カ国(※先の10カ国、韓国ではハードカレンシーも『基軸通貨』と言います)の、昨年末基準で国内総生産(GDP)比一般政府債務(D2)平均は52.0%で、我が国の54.3%より低くなった。IMFは10の非基軸通貨国の債務比率は新型コロナ当時50%台から、40%台後半に徐々に下方安定化すると見ている。一方、我が国の債務比率は徐々に右肩上がりを描くと予想する。グローバル金融市場で基軸通貨を使用する国は政府債権に対する需要が多いが、非基軸通貨国はそうでないという点で、こうした国家債務の流れはおもわしくないというのが専門家たちの指摘だ(朝鮮BIZ)・・>>

引用部分にはありませんが、記事によると、GDP比でこれら10カ国平均が韓国の政府債務より低くなったのは、集計を始めてから、初めてのことだそうです。前にも同紙は同じ趣旨の記事を載せ、「基軸通貨(ハードカレンシー含め)を持つ国と比べても意味がありません。金融部門での体力そのものがちがうからです」と指摘していました。しかし、第2金融圏中心に「今年上半期中に、財務健全性において大きく動くだろう」という内容が気になります。この前取り上げたセマウル金庫の件も、私はただの噂だとは思えませんし・・あれもブリッジローンが主な理由でした。ブリッジなだけに遠すぎたのかどうか。気になるところです。

 

 

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