米国、訪米準備中の韓国大統領に「中国がマイクロン社に何かの制限措置を取った場合、その半導体不足分の穴埋めをしないように」と要求

ちょうどユン大統領の訪米の日、妙なニュースが流れました。米国政府が、訪米準備中のユン大統領に、「マイクロン社関連で、半導体の中国販売増加」を控えるように要求した、というのです。中国政府がマイクロン社に対して何かの措置を取って、マイクロン社の生産が影響を受け、それで中国が半導体不足状態になった場合、韓国メーカーがその分を埋め合わせないでほしい、すなわち中国での生産・販売量を増やさないでほしい、という内容です。元ソースはファイナンシャルタイムズ、ロイターなどです。ご存知、3月31日、中国は米メモリー半導体大手マイクロン社を、主にサイバーセキュリティーを理由に調査しました。まだ具体的にどういうものかは見えてきませんが、制裁が行われる可能性もある、と予想されています。マイクロン社というより、米中関係がどうなるかによるでしょう。

マイクロン社は中国に工場を持っています。この点、中国の一部のメディアは「サムスン電子などにも相応の『メッセージ』になるだろう」と報じたりもしました。そんな中、こんなニュースが流れたのは、この件が(公開されるかどうかは分かりませんが)今回の米韓首脳会談の議題になる可能性が高いという意味でしょう。可能性というか、もう「議題にする」と間接的に「言っておいた」わけです。なにせ、SBSなど複数のメディアの報道によると、米国側がこのような要求をしたのは、ユン大統領が訪米の準備をしていたときのことです。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・中国が、米国マイクロンの半導体販売に相応の措置を行い、半導体が不足した場合、韓国半導体企業がその不足分を穴埋めすることがないようにしてほしいと、米国が韓国に要請したと、ロイター通信が23日(現地時間)英国ファイナンシャルタイムズを引用して報道しました。報道によると、ホワイトハウスと大統領室の対話に詳しい情報筋4人は、ユン大統領が24日米国訪問を準備する中、このような要求をした、と伝えました。米国のこのような要請は、中国が米国最大のメモリ半導体メーカーであるマイクロンを対象に今月、安全保障審査に入ったことによるものだと伝えられました。中国はマイクロンの審査を通常の監督措置だと言っていますが、米国はこれを自国の対中半導体措置への対応だと見ています・・

 

・・具体的には、米国政府は、中国が安保審査の結果、マイクロンの販売に制限をかけた場合、サムスン電子、SKハイニックスが中国に半導体販売を拡大できないようにしてほしいと韓国政府に要請した、と伝えられました。今回の事案をよく知っているある関係者は、中国がマイクロンを米国の政策に影響を及ぼすために使えないようにするため、米国政府の今回の要請が始まったと、ファイナンシャルタイムズに伝えました。彼は、米国が、自国や同盟国の企業へのいかなる経済的措置に対しても、同盟・パートナーと共助するという点を中国に見せることで、中国の措置をやめさせることができると見ている、と付け加えました。

ファイナンシャルタイムズによると、駐米韓国大使館とサムスン電子は今回の件に対する立場を明らかにしませんでした。SKハイニックスは、韓国政府から要請されたことがないと明らかにしました。駐米韓国大使館関係者は、FTの報道と関連して「知りません」と話しました。FTによると、ホワイトハウスは今回の要請の具体的な内容は言及していませんが、ジョーバイデン政権とユン政権が先端技術保護努力を含む国家・経済安全保障への協力を深めることに「大きな進展」を成し遂げたと話しました。ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)は「ここには半導体部門投資の造成、核心技術の保護、経済措置の解消などの努力も含まれる」とし「(ユン大統領の)今後の米国訪問で、これらの部分に対する協力がさらに強化されることを 願います」と述べました(SBS)・・>>

 

引用部分にはありませんが、ファイナンシャルタイムズは、「韓国政府は米国の対中措置でサムスン電子、SKハイニックスの長期的な競争力が弱まることを懸念しているけど、米国は経済安全保障のために同盟国が集結するようさらに強く呼びかけており、韓国政府の悩みは大きくなっている」とも報じました。米国がインド太平洋地域で対中政策で同盟国と共助したのは目新しいことでもないけど、同盟国の企業にまで同調を求めたのは珍しいことだ、とも。

さて、一つ前のエントリーとつなげて考えてみると・・公式に発表された内容ではありませんが、ユン政権のサムスン電子・SKハイニックス中国工場関連の目標は、『(工場の投資、アップグレードなどの)現状維持』だと言われていましたが・・どうやら、どテイクはテイクでもミステイクになりそうな、そんな気がします。

 

 

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