香港漁民「ここに座って魚を塩につけておきます」→韓国地上波放送「処理水はすぐここまで広がってくるでしょう」と翻訳

この前も、韓国の複数のメディアが「湾内(網などで魚をコントロールしているエリア)」を「沖(湾内よりずっと広い)」を報道しているとエントリーしたことがあります。6月初、福島第1原発の「港湾内」で捕れたクロソイから、セシウム基準値180倍が検出されたというニュースがありました。これを、韓国の地上波、大手ケーブルテレビ局などは「沖」と報じました。港湾内は「そこから魚が外に出られないように網などで制御されている」ので、沖とは異なります。沖は、いうまでもなく魚をコントロールできません。実際、この件は日本でも報道されましたが、注意喚起レベルで、そこまで大きな話題にもなりませんでした。

本件を指摘した右側メディア「ペンアンドマイク」は、日本側のメディアは港湾内とちゃんと書いてあるし、韓国でも聯合ニュースなどは「港湾内」とちゃんと記述しているのに、地上波含めて一部のメディアは明らかに意図的に「沖」と報道しており、それを根拠に市民団体は活動を強化、政府は「水産物の輸入は止めています」と改めて発表しなければならなかったとしています。その指摘から1週間ぐらい経ちますが、それから是正したとかそんなニュースはなく、ペンアンドマイクの記事はすぐ忘れられました。

 

今日は、今回は地上波放送が、処理水関連で香港漁民のインタビューを意図的に誤訳したという記事がありました(同じくペンアンドマイクと、ザ・ファブリックというメディアの記事、6月28日のものです)。字幕はもはや創作レベルで、香港の漁民はインタビューで「4日間、塩漬けにしておきますよ。ここに座って作業します」と話しました。何の質問に対するものかは分かりませんが、魚の保管または何かの食材を作る内容ではないでしょうか。しかし、MBCの字幕には「(処理水は)いろんなところに広がるでしょうし、しかも長く持続するでしょうから」となっていました。しかも、香港の親中で労働組合メイン政党の調査結果をそのまま根拠にしている、などなどです。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・MBCが処理水放流に関する香港世論を報道する過程で、広東語インタビュー内容を「創作」水準に脚色し、驚きを禁じえない。この報道は去る26日MBCニュースデスク「『日本産原産地は取り外した』、強硬な香港」というタイトルの放送だ。該当記事には香港の人たちのインタビューが盛り込まれたが、そのうち「ライ」という名前の漁民の発言が問題となっている。 ライ氏が実際に述べた内容とMBC側の翻訳内容が異なるのだ。MBCはライさんが「(福島)処理水があちこちに広がるはずなのに、そして一日二日で広がるのではなく、長く続くので…」と話したと翻訳した。だが、ライさんの実際の発言内容は「成揸放鹽煮、醃咗四日」で、この広東語を翻訳すれば「塩を入れて4日間漬ける」だ。ライさんは引き続き「私たちはこれらを保管するが、この作業を座って行う」と言う。

この発言はライ氏が漁民という点を勘案したとき、魚の塩漬け、あるいは塩辛の製造について語ったものとみられる。全く関係ない発言だ。これとは別に、この放送の根拠となる香港の世論調査についても指摘が出ている。この世論調査は香港公会連合会(FTU)が実施したもので、香港住民の80%が放流計画に反対すると23日香港サウスチャイナモーニングポストが報道した。ところが公会連合会、すなわち公会連は、親中政党であり労働組合団体だ。 通常、香港の他の労働組合団体が「民主派」であるのと比較される傾向だ(ペンアンドマイク)・・>>

 

他にも「ザファブリック」というメディアの記事ですが、香港現地からの情報提供によると、「(放送には質問内容は出ていないが)『魚を塩漬けにする期間はどのくらいなのか』との質問だった」との話もあります。また、別の商人が(字幕では)「日本産水産物は取り扱わないつもりです」とするインタビュー字幕がありますが、それもちゃんと翻訳すると「その商品は輸入しないよう努力しています」になるので、本当に質問内容が日本産水産物に関するものなのか、という疑問も提起されています。いまのところ、この件についてMBCの動きはありません。 次は、17~18時頃の更新となります。

 

 

おかげさまで、新刊が発売中です!今回は、マンションを買わないと『貴族』になれないと信じられている、不思議な社会の話です。詳しくは、新刊・準新刊紹介エントリーを御覧ください。経済専門書ではありませんが、ブログに思いのままに書けなかったその不思議な「心理」も含めて、自分なりに率直に書き上げました。以下の「お知らせ」から、ぜひ御覧ください。ありがとうございます

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年3月1日)からですが、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。・新刊として、文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察した<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>、帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・ンシアリーはツイッターをやっています。ほとんどは更新告知ですが、たまに写真などを載せたりもします ・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。