半導体大手でもある「SK」の会長、「中国市場をあきらめるわけにはいかない。私たちには回復力がない」

サムスンと並んで半導体分野で大幅な赤字を記録している、メモリ半導体大手SKハイニックス。そのSKハイニックスを傘下に持つ「SK」グループの会長が、自ら「中国市場をあきらめるわけにはいかない。私たちには回復力がない」と話しました。ソース記事は、今回もペンアンドマイクです。別に中国市場でのシェアをゼロ%にする必要はないでしょうけど、今このタイミングでわざわざこんな発言をする必要があるのでしょうか。しかも、中国に半導体関連工場を作っている(一時は建設をやめるというニュースもありましたが、SK側は続けると話しました)SKの会長が。

記事をよく読んでみると、「米国、中国以外の市場を手にすると、米中主導の市場にこだわらずにすむ」と話していますが、その主な趣旨は、「だから、米中対立において、『それ以外』の市場を見つけるには、米中どちらかを選んではならない」になります。特に、官民一体になる必要があるとも強調しましたが、これは、ユン大統領に「対中外交にもっと力を入れるべきだ」と言ったようなものでしょう。はてさて、本当に何か一貫した目標があるから持論を言ったのか、それともこういわないといけないほど追いこまれているのかは分かりませんが、少なくともタイミング的には、そして立場的には、微妙すぎる発言です。

 

半導体や中国関連で、本ブログでは韓国メディアに載っている様々な発言を紹介してきました。その中でも個人的に記憶に残っているのが、韓国日報(2023年1月5日)です。まとめてみると、「中国事業による地政学的負担が大きくなっていることを知らない人はいないだろう。でも、脱中国というのが、口でいうほどに容易ではない(北京にある韓国大企業のハイレベル関係者)」、「中国で営業する我が国の企業は、すべて中国からの撤収をプランBとして準備しているだろう。でも、あくまでプランBにすぎない。中国という世界最大の市場をあきらめるのは難しい(別の企業関係者)」、「設備、素材、部品、ノウハウがすべてここにある。同盟論理で事業を動かすことができる段階は、すでに過ぎた(中国現地の半導体業界関係者)」、などです。

それもそのはずで、サムスン電子は中国西安工場でNANDの40%、SKハイニックスは無錫と大連の工場でDRAM50%、NAND30%を生産しています。大韓商工会議所のデータだと、半導体輸出において中国が占める割合は2022年39.7%。2000年には3.2%でした。韓国日報に載っている「大企業」というのがどこなのかまでは分かりませんが・・ついに「関係者」でなく、会長さんの口から同じ趣旨の発言が出てきたわけです。以下、<<~>>でペンアンドマイクから引用してみます。

 

<<・・チェ・テウォン大韓商工会議所会長(SKグループ会長)が、米中対立など地政学的問題でわかれた市場を言及し、不確実な経済状況克服のためには官民がワンチームで対応しなければならないと強調した。チェ会長は、他の代替市場がないかぎり、最大貿易パートナーである中国市場を失うことはできないとも述べた。チェ会長は12日、済州ビーチホテルで開かれた「第46回大韓商工会済州フォーラム」で記者たちに、「最大の貿易パートナーである中国市場を失うと、その代替市場を見つけるのは難しい」とし「中国という大きな市場をあきらめるだと? 私たちには回復力がない」と話した。米中対立が高まる中、韓国企業の対応戦略が何であるかという質問に対しての発言だ。チェ会長は「主導権を一度失うと取り戻せない。官民がワンチームで対応をしなければならない産業がある」と強調した・・

・・チェ会長は「(韓国が)国際社会に何か貢献する必要性が生じた」とし「(釜山エキスポを通じて)人類の問題を解いていく一つのソリューション・プラットフォーム形態を作る」と強調した。彼はまた「このようになれば、大韓民国は朝鮮半島から領土を広げることができるようになる」とし「これまで米国中国に依存してきた韓国経済構造に変化をもたらすこともできるだろう」と話した(ペンアンドマイク)・・>>

 

なんか、「中国市場をあきらめるわけにはいかない」という主張に名分を与えるために、人類レベルの壮大な話がいろいろ出てきた・・そんなところでしょうか。でも、中国ももはや『ものを出せば売れる市場』ではありません。特にメモリー分野では、そろそろ中国の技術に緊張したほうがいいのではないでしょうか。知りませんけど。

 

 

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