米国「日米韓首脳会談で、『有事の際、日韓は協議する義務がある』と共同声明しようぜ」

18日に予定されている日米韓首脳会談で、米国側が「日本と韓国は、どちらかの有事の際、お互いに協議する義務がある」という内容を共同声明の一部として出そうとしている・・というニュースがありました。複数のメディアが報じており、本エントリーのソースは中央日報ですが、いますが、元はファイナンシャル・タイムズが報じた内容です。韓国側の記事には「協力」とする場合もありますが、多くのメディアは「協議」としており、原文でも「consult」です。

さて、中央日報は、『日本は平和憲法があるので、実際に韓国側が得られるメリットは大きくない』『メリットより、負担が大きすぎる』としながら反対しているし、他のメディアも同じ趣旨です。一応保守系メディアですが、政権に合わせたのでしょう。ユン政権も『国民世論が~』としながら、この件についてかなり慎重な立場になっていますので。ただ、個人的に、「悩むどころ、そこ?」としか思えません。「義務」というのが入るのは(評価はともかく)新しいですが、米軍が存在するいまのシステム上、協議しないという選択が果たしてあるのでしょうか。今のままでもなにかの形で協議することになるのでは。というか、米国からして、大人しくしているはずもないでしょう。どちらの有事の際でも、米軍が関わるわけですから。

 

記事は世論が~としていますが、個人的に韓国政府が悩んでいる理由は、別にあると見ています。一つは、1997年からずっと政府の公式立場である『有事の際でも、自衛隊は朝鮮半島に進入してはならない』と、『今回の共同声明が、北朝鮮だけでなく、中国やロシアを含めた概念である』こと。この2つではないでしょうか。後者については、軽く取り上げる記事がいくつかあるものの、前者については、取り上げる記事がまったくありません。前者の場合、『韓国側の同意(または要請)が無ければ』という条件があります。今回米国が入れようとしている「協議」というのが、その「同意」の別の表現だとすれば、どうでしょうか。1997年、「日米防衛協力のための指針」が改定されたとき、1997年6月10日京郷新聞、8月20日ハンギョレ新聞など当時の記事を見てみると、韓国政府は、『日本自衛隊が米軍の後方支援をするのはいいが、韓国政府の同意無しでは、朝鮮半島領海・領空での活動は認められない』をメインとする公式立場を決め、日米両国に伝えました。

 

2014年、日本が朝鮮半島の作戦区域(KTO、Korea Theater of Operation)内で自衛権を発動するのではないかという問題提起があり、韓国政府がまた「政府は、有事の際、韓米連合司令官が設定する韓米連合作戦区域内であっても、私たちの要請がなければ、日本が集団自衛権を行使することを容認しない」という公式立場を出し、日米両方に通知した、と発表しました。中央日報は「実際、ユン政権は日米韓共助強化の必要性を強調しながらも、日本との安保協議の義務化などには慎重な雰囲気だ」「日韓安保協力に対する国民の不安は変わっていない」「この議論が政治的に騒ぎになれば、逆に日米韓共助が遅れることもありえる」などとしながら、全般的に反対しています。以下、部分引用して、そのまま終わりにします。

 

<<・・実質的に、日本は平和憲法があり、軍隊を保有できない。韓国の有事の際、日本との協議を通じて共同対応する手段がないという疑問が提起される可能性がある。韓国の立場では、日本との安保協力強化がもたらす軍事的効用は明らかではないが、逆にそれによる外交・政治的リスクは大きいわけだ・・・・ソンヨルドンアジア研究院長は、「米国が描く絵のとおり、日米韓共助は北朝鮮核文才だけでなくインド・太平洋全体の安保対応と中国牽制に活用されるため、韓日間でも一定水準以上の安保協力態勢が必要なのは事実」 だが、「ただ、韓日関係の特殊性を勘案した時、日本との安保協力は軍事的領域を超えて外交・政治的要素まで総合的に考慮しなければならないし、慎重にする必要がある」と話した(中央日報)・・>>

最後に告知ですが、申し訳ございませんが今日はこれで更新終了で、次の更新は明日の朝11時頃になります。また、昨日エントリーしたばかりの新刊ですが、一部が週刊SPAに掲載されました。リンクはヤフー版です。抜粋したものではありますが、よろしければ、ぜひお読みください。

 

 

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