常温超伝導体(?)LK-99の現状・・関連企業の株価が急落、株式取引一時停止も

常温で電気抵抗ゼロを実現する、常温超伝導体。これは随分前から、まさに人類のロマンと夢の物質であります。SF映画などでよく出てくる、『台の上に浮いたまま固定されている物質』の元ネタでもあります。アバター1作目にも主人公たちの惑星で取れる鉱物のシーンであったと思いますが、この『特定の台の上に浮いている』は、実は超伝導体の特徴です。超伝導体は、磁力を持つ台の上に、『浮いて(マイスナー効果)』、『そのまま固定(フラック・スピニング、ピン止め効果)』するからです。映画に出てくるものは超伝導体ではありませんが、『まだ人類が手にしていない夢の物質』のイメージの一つとして描かれているわけです。多分。

で、1週間ぐらい前、韓国の開発チームがこの常温超伝導体を開発したと映像や論文を公開し、大きな話題になりました。名前はLK-99。ノーベル賞だ、教科書に載せろ、国歌の歌詞に入れろ、などなど大きな称賛を得て、関連企業の株価は急騰しました。ちなみに関連企業というのは、超伝導体製造に使われる線材などを作る会社のことです。公式に「取引に注意を要する」とされても、その株価は連日急騰・・そのほとんどは蟻(個人投資家)たちによるものでした。しかし、複数のメディアによると、今朝、詳しくは昨日の時間外取引から関連企業の株価は急落、一部は下がり過ぎで取引停止中です。

 

なにせ、LK-99を開発したチームが公開したサムスンや有名大学など「協力機関・企業リスト」が、事実ではないと明らかになりましたし、学会による検証委員会から、「超伝導体ではないと思われる」という発表がありました。ニューシースによると、学会はサンプルを要請しているものの、開発チームは「論文検証中なので2~4週後に提出する」としている、とも。というか、公開された映像などを見ても、先の2つの現象、マイスナー効果とピン止め効果は確認できません。浮いていないし(一部だけ斜めに立ってる)、固定もされていません(振動している)。本ブログでは取り上げませんでしたが、そろそろ「ああ、やはり」な展開が見えてきましたし、開発者たちも時間稼ぎモードに入りましたので、現状のまとめとしてエントリーします。

 

<<・・国内学界で、世界で初めて韓国で開発されたという「常温超伝導体」に対する疑問が提起された。常温超伝導体の開発を主張しているクォンタム・エネルギー研究所側は「論文審査中」という理由でサンプルの提供を遅らせている。韓国の超伝導研究者が集まった学術団体である韓国超伝導低温学会は、最近発表された常温超伝導体の真偽判断のために「LK-99」検証委員会を発足、交差検証に乗り出すことにした。学会側は3日、「まだ実際の検証が始まらず断定できる段階ではないが、映像の中のLK-99がマイスナー効果を出しているかどうか疑問がある」と話した。

超伝導体の最大の特徴は、特定の温度で電気抵抗が消え、物質内部の磁場が外側に押し出されるマイスナー効果である。超伝導体は外部の新しい磁場を押し出す性質を持つ。超伝導体の近くに磁性のある物体が近づくと、まるで空中浮揚のような現象が現れるのもこのためだ。クォンタムエネルギー研究所が公開したLK-99映像を見ると、LK-99が磁石に反発する姿がある。映像の中のLK-99は空中に浮揚したまま(※空中浮揚ではなく、片方が下の台にくっついています)多少振動しているが、これは超伝導体の特性とは異なるというのが学会側の立場だ・・

 

・・学会によると、クォンタムエネルギー研究所は現在LK-99論文を審査中であるが、このような審査は少なくとも2〜4週以上かかる見込みだ。クアンタムエネルギー研究所は「論文審査が進行中であるだけに、審査結果に影響を及ぼす可能性のあるサンプルは審査を終えてから提供する」と答えた。このような回答に検証委側は「交差検証結果測定値が既存の論文と同じならば、むしろサンプル提供が審査の役に立つではないか」とし、サンプル提供を再要請した(ファイナンシャルニュース)・・>>

ちなみに、ソース記事には「学会があわてている」「学会が補助金を得るためにやっているだけ」などのコメントが目立ちます。これもまた、2004年のES細胞のときと同じ流れです。まだ最終的な結論が出たわけではありませんが・・このまま同じ流れになるのでは、と思うのは私だけでしょうか。 最後に告知ですが、おかげさまで好評の新刊の一部が、週刊SPAに掲載されました。リンクはヤフー版です。抜粋したものではありますが、よろしければ、ぜひお読みください。

 

 

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