韓国、日韓FTAやCPTPP加入などの主張が相次ぐ

さて、海洋放流のことで政府は毎日のように「輸入関連措置は現状維持」を強調していますが、民間シンクタンクからは、日韓FTA、CPTPP加入が必要だという主張が相次いでいます。この前、中国とのFTAをもっと強化する必要があるとの主張を紹介したことがありますが、主に左側の人たちは中国とのFTA強化を、右側の人たちは日本とのFTAまたはCPTPP加入を主張している、大まかにそんな感じです。中国はともかく日本との経済関連案件が相次いで話題になる理由は、実に簡単です。首脳会談で「協力しましょう」という話がいろいろ出たから、です。

なんとういか、王様がそう言ったから間違いない、とする考えがまだ強いのでしょうか。また、「日本と関係改善できたから、もう出来る」という考えも強く残っています。これは、QUAD関連でも、CPTPPでも、G8(G7拡大)関連でも同じで、「日本は、今の地位が揺れることを懸念し、韓国の参加に反対していた。でももう関係改善できたから、問題ないだろう」というのが基本パターンです。ただ、このような話において、たとえば輸入関連措置とか、そんなものをセットで主張する専門家・メディアはいません。長官自ら「輸入関連措置はそのまま、CPTPPにも加入する」と言ってました。以下、毎日経済の8月30日の記事と9月15日の記事から、ホ・ジョン ソガン大学経済学科教授の日韓FTA関連主張と、韓国対外政策研究院のCPTPP関連主張を、それぞれ<<~>>で引用してみます。

 

<<・・CPTPPは日本主導で2018年に発効したが、韓国の参入はかなわなかった。2013年に推進し始めた日中韓FTA議論は、米中対立が発生し、2019年に中断され、以後製造産業分野で米国の脱中国化が強力に進行されており、事実上、何も見えない状況だ。韓国と日本の間のFTAは、事実上、世界で唯一残った巨大FTAといえる。 両国のGDP規模や貿易および海外投資規模を見ると、その潜在力は言うまでもなく、先端産業で先頭国といえる国なので、世界経済に及ぼす波及効果も大きいだろう。しかし、日本の対韓国貿易量は2023年現在、韓国総輸出の4.7%、総輸入の7.6%に過ぎない。経済規模、地理的距離、文化的親密性などで見ると、理論的かつ実証的にも信じ難い通商ケースといえる・・

・・筆者が最近完成した韓日製造供給網構造と企業生産性に関する研究結果の一部を見ると、韓国と日本の間の中間財貿易の方向によって、互いにウィン・ウィンできることが分かる・・・・日韓FTA交渉が再開された場合、これら両国の産業的特性を考慮した域内サプライチェーン構築中心に設計すべきである。これにより韓国の新たな先進貿易構造転換のための市場多様化及び輸出品目多角化、そして先端技術共同開発に寄与することができ、究極的に日米韓三国が世界先端製造業の中心軸となるだろう(毎日経済)・・>>

 

<<・・米中対立によって、今後第3世界と新興国の役割が大きくなるという分析が出た。(※韓国対外政策研究院KIEP主催の会議で)韓国が環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)加入を積極的に検討しなければならないという指摘も提起された・・・・CPTPPはカナダとオーストラリア、ニュージーランド、メキシコなどアジア・太平洋地域11カ国が結成した多国間自由貿易協定(FTA)だ。日本主導で去る2018年12月末発足した。 ユン政権はCPTPP加入を国政課題に定めたが、濃縮水産業部門の懸念などで関連した動きは進んでいない。ユミョンヒ ソウル大教授は「韓国は積極的にCPTPP加入を検討しなければならない」とし「今年末や来年になれば韓国がもう少し動きやすくなるだろう。CPTPPに重点を置くことができるだろう」と話した(毎日経済)・・>>

 

これらについて、日本が優先して検討すべきは、「日本にとって、どのような得があるのか」です。特に、経済安保関連の物資のこともあるし、経済だけでなくもっと広い範囲において、どのような得があるのか、と。個人的には、これといって必要性が感じられません。あと、日本との交易量がどうとか言ってますが、これは、日本が必要とするものが自国・または他の国からも手に入るという意味ではないでしょうか。また、2000年代になってから、韓国の中国経済に密着したから、というのもあるでしょう。いま「(韓国の半導体産業は)中国から離れると、回復できる力を身につけていない」という話がSK会長から出てきたりするのも、そのためでしょうし。現状、日本が韓国経済に近づくことは、中国経済に近づくことになる、とも言えます。

 

 

おかげさまで、新刊「韓国人として生まれ、日本人として生きる」が発売中(2023年7月29日発売)です!2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」を受け入れ、その連続性を大事にしながらも、「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。「両国間の架け橋になりたい」などと全然思っていない理由は何か。『日本人』として初めて韓国を訪れたときの感想をメインにして、一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。新刊・準新刊紹介エントリーもぜひ御覧ください。ありがとうございます
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

 ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年7月29日)からですが、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」より「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。帰化した人たちがよく口にする「両国間の架け橋になりたい」などの言葉について、私はなぜ「そんなつもりはありません」としか思っていないのか。一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。 ・新刊は、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。