日本、米国、台湾、中国、そして駐韓米軍・・韓国で根強い「台湾関連で駐韓米軍が動いてはならない」という主張

日本と米国の経済安保協力がさらに強化されつつある中、複数の韓国メディアが関連記事を出しています。今日紹介するのは中央日報ですが、主に二つの主張が載っています。一つは、「台湾の有事の際、駐韓米軍は動かしてはならない」という主張。駐日米軍などが強化されると、駐韓米軍が北朝鮮だけに集中できるようになるから、いいことではないのか、という主張です。台湾の有事の際(など)、駐韓米軍は韓国の外に出てはならない、という主張。ソース記事の中央日報には控えめに書いてありますが、今回だけでなく同じテーマにおいて、かならず出てくる話です。、単に自国の安保を心配しての意見なら、理解できなくもありません。しかし、どうもそうは見えないのがちょっと。

台湾でもしものことがあると、駐韓米軍の動きを牽制するため、中国が北朝鮮を動かす可能性があります。だから、駐韓米軍が台湾関連で海外へ動くと、韓国には重い安保空白が発生するかもしれません。だから、駐韓米軍は動かないように(韓国の外に出ないように)しなければならない・・そう主張する『だけ』なら、見方にもよるものの、各メディア・専門家が自国の安保を優先する立場から出した主張として、理解できます。しかし、多少深読みする必要もありますが、この主張、どうも『側』に関する話でして。

 

すなわち、北朝鮮を取り上げて、台湾の有事の際に『どちらにも参加しない』を主張しているわけです。あえて簡略な書き方をするなら、駐韓米軍が動くと、韓国が『基地』として参加することになるからです。すなわち、自国安保というよりは、中国との関係、または『どちらかになること』を牽制しているだけです。同記事に載っているもう一つの主張は、『でも、だからといって駐韓米軍を減縮してはならない』という話です。駐韓米軍は北朝鮮に集中すべきだとしながらも、「日米同盟が強くなって、駐韓米軍が縮小されたらどうしよう」という主張です。二つの主張が相反している気もしますが。自衛隊と駐日米軍の協力・連携関連の部分もあるので、合わせて紹介します。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・(※今回の日米首脳会談の)共同声明では「両国の作戦と能力の円滑な統合」と「相互運用・計画を向上させられる各自の指揮・統制体系を両国家レベルでアップグレード」することが明示された。作戦行動を前提とした相互運用と指揮システム改編は、両国間の合同作戦を実質的な水準でより充実させるという意味になる。これと関連し、いまは作戦権を持たず米インド太平洋軍司令部の指揮を受ける駐日米軍司令部を、米韓連合司令部と同じレベルに格上げするのか注目される。自衛隊統合作戦司令部は現在の統合幕僚長と同じクラスである4つ星将軍(大将)で新設されると予想される。これと格を合わせるため現在3つ星将軍である駐日米軍司令官を4つ星将軍指揮体系に改編するという観測が日米の外交情報筋たちから出ている。

ただ、今回の首脳会談で具体的な内容が発表されたわけではない。これと関連して内部事情に詳しいある情報筋は「このためには米軍の構造改革が伴わなければならず、すぐにできる問題ではないと思っている。今後、そんなレベルまで可能になるという、複数のシナリオのうちの一つだと見るべきだろう」と話した。自衛隊が米軍の指揮を受ける形の日米連合司令部の創設は、日本が線を引いている。これに対し梨花女大パクウォンゴン教授は「さまざまな可能性があるが、今回の首脳会談の核心は、1950年代から米国がやってきたアジア太平洋地域での同盟体制の、根本構造を変えようとするということ」と指摘した。

 

こうした日米の前例のない協力強化、および米国の同盟体制の変化は、韓国の立場からすると「両刃の剣」になるというのが韓国専門家たちの見解だ。大きなビジョンとしては、米国が日本やフィリピンなどアジアで戦力増強すると同時に同盟間の協力も強化すれば、中国とロシアを牽制でき、北朝鮮の急な動きを抑止できる。この点では肯定的な側面がある。台湾で有事が発生しても、駐日米軍に及ぼす影響は小さくなり、北朝鮮防衛にだけ集中することもできるのだ。クォン・テファン国防外交協会会長は「駐韓米軍の場合、追加増員なしで、台湾有事の際に、北朝鮮がまた別の戦線を拡大しないよう北朝鮮抑止だけ集中するのが最も大きな役割」と分析した。

これに対し、駐日米軍の役割や地位が拡大した場合、2万8500人で固定された駐韓米軍の規模に対して疑問を提起する声が米国内で提起されるのではないか、と懸念される。アサン政策研究院のヤンウク選任研究委員は「トランプ氏が再選すれば、駐日米軍司令部を一層強化し、米韓連合司令部を縮小して米軍兵力を減らすかもしれない」と指摘した。パク・ウォンゴン教授は「米国は中国を相手にする時、日本だけでなく韓国などさまざまな同盟国の軍事装備と能力を合わせてシナジー効果を出すという構想。こうした変化の中、下部構造としての韓米同盟も、北朝鮮問題を超えて役割変化を模索しなければならない時」と話した(中央日報)・・>>

 

最後の部分、パク教授は「駐韓米軍も、対北だけでなく、もっと役割拡大しないと」としていますが、これは韓国内では結構レアな意見です。それに、「台湾にも中国にも謝謝すればいい」「私たちとは関係ない」「私たちは、私たちが豊かに暮らせればそれでいいじゃないか」と話した人がこの前の総選挙で大勝利したこともありますし・・

 

 

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