いつだったか、韓国の安保関連主張が「自主派(自主国防派)」と「同盟派(米韓同盟派)」に分かれている、という話を書いたことがあります。両方を一緒に進めればいいだけですが、社会各方面が「対立する二つの勢力の、どちらかに属するかで、自分のアイデンティティーが決まる(すなわち、対立する存在が無いといけない)」という特徴もあり、自主派は「同盟の弱体化」を意味する、そんな流れになっています。ここが日本ともっとも大きく異なる部分でしょう。日本の場合、独自の力も強化しつつありますが、同盟をおろそかにしているわけではありませんから。今回の「北朝鮮核施設関連発言」問題も、この「自主か、同盟か」の問題の一つとして取り上げられているため、大統領すらも「何の問題も無い発言なのに、米国側が問題視している、この問題を外部に話した人に対しても調査する」という流れになっています。「派」同士のマウント取りがかかっていますから。
そのためのポイント(とされているもの)が、「秘密とされている内容だったのか」です。鄭東泳統一部長官が話した「亀城」地域の核施設について、韓国政府は「すでに多くの報告書などを通じて明らかにされている内容」としています。しかし、関連記事をいくつか読んでみると、「そうではない」というのが大まかな結論です。たとえば、地域名が出てくるのは事実ですが、それを核濃縮施設として言及したものは無いし、韓国政府が「その機関の報告書にそう書いてある」と主張した機関の中には、「そんなこと言って(書いて)ない」と正式に反論したところもあります(昨日取り上げましたが、CSISなど)。また中央日報の23日の記事によると、鄭東泳長官の発言は、明らかに「米韓の連合秘密(Secret)だった」とのことです。韓国軍が国会議員の問い合わせに、公式に答えた内容です。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・鄭東泳統一部長官の「亀城核施設」発言の波長が大きくなる中、地域名を含む北朝鮮のウラン濃縮施設関連諸般事項は、韓米間の「連合秘密」に分類されることが分かった。国防情報本部は22日、イムジョンドク「国民の力」議員(国会国防委員会)に提出した回答で、「北朝鮮のウラン濃縮施設関連事項は、韓米連合秘密として、公開が制限される」と明らかにした。これに関連して、軍関係者は「ウラン濃縮施設が位置する地域名も連合秘密に含まれる」とも確認した。連合秘密は韓米が共同生産したり共有する機密情報のことで、北朝鮮の軍事動向情報や連合作戦計画などがこれに含まれる。
「秘密(secret)」は韓国の軍事2級秘密に該当するとみられる。これに先立ち、鄭長官は先月、外交通商委員会全体会議で、寧辺と降仙だけでなく、平安北道の亀城をウラン濃縮施設として指摘した。米側は共有秘密情報を公開したことに抗議し、韓国に情報共有を制限している。これに対し、鄭長官は20日、既に公開された情報を根拠にした発言だったとし、「政策説明を情報流出だと主張されるとは、非常に残念だ」と明らかにした。直後、李在明大統領も、公開情報であることを強調し、「鄭長官が『米国が知らせた機密を流出した』とすることを前提としたすべての主張と行動は間違っている」と述べた。しかし、米韓にとって、亀城という位置を含め、北朝鮮のウラン濃縮施設に関する情報は、すべて連合秘密に縛られていたという点が、今回の回答を通じて確認されたのだ。
米側が問題としたのも、このためだと思われる。特に、研究機関やマスコミが分析や推定をしたことと、政府の当局が公開的にこれを公式化するのは、次元が異なる問題かもしれない。特に米当局は、鄭長官が亀城という地名だけでなく、原子炉燃料棒の引き出し回数、プルトニウム抽出量、ウラン濃縮度など具体的な数値に言及した点を深刻に受け入れているという。これが公開されると、逆に情報収集技法などが知られてしまう可能性があるからだ。
これに対して統一部は22日、追加説明資料を出して、「2016年ISIS報告書が遠心分離機開発施設で特定した飛行機工場の行政区域が「平安北道亀城市」としており、機密流出ではなく、公開された資料を引用したものだ」と繰り返し解明した。それとともに「施設の正確な位置を把握することは、長い間、難しい課題であり、この施設の位置を特定することが今後北朝鮮との核交渉において非常に重要だ」と書かれたISIS原文を共有した。問題は、この「課題」が、位置特定の難しさを明示したという点で、当時のISIS報告書は、亀城核施設の存在を確定的な事実ではなく推測レベルで見たことを意味するという点である(中央日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。