韓国メディア「政府の台湾表記問題、全員をなだめようとして誰も満足させられなかった」

本ブログでも何度か取り上げましたが(最新のものが4月22日)、韓国政府の「中国(台湾)表記問題」。初耳だという方のために短く説明しますと、韓国の電子入国申告書の国家・地域選択項目が、「中国(台湾)」になりました。それまでは、普通に手で「台湾」と書けばよかったけど、電子入国申告書になってから「選ぶ」タイプになって、台湾と入力することができなくなったわけです。他にも各種書類で、韓国は「中国(台湾)」表記をしています。明らかに中国を意識した措置でしたが、中国からなにか褒められたわけでもなく、台湾から強い抗議が相次ぎました。多分、韓国政府が思った以上に強かったのでしょう。台湾政府は、対抗措置として、電子入国申告書以外の各種書類の「韓国」表記を「南韓」に変えました。前はもともと「南韓」でしたが、韓国政府の要請で「韓国」に変えていたものを、再び「南韓」に戻したわけです。ちなみに、台湾側の主張だと、何度も韓国政府にこの件で話したものの、韓国政府はちゃんと対応しなかった、とのことです。

韓国政府は、電子入国申告書の表記を修正するのではなく、「関連項目を丸ごと削除」しようとしました。電子入国申告書に国名・地域名の入力項目そのものが無くなるというのもすごい話ですが(笑)・・すると、今度は中国の外交部長の訪韓が遅れつつある、というのが現状です。それからなにか続報があったわけではありませんが、韓国日報(25日)がまとめのような記事を載せたので、そちらを取り上げてみます。いつものことですが、「両方を気にして、どちらも満足させることができなかった」という内容です。ちなみに、これ、本ブログではいつも書いていますが、韓国政府は問題になった「中国(台湾)」表記を「修正」したわけではありません。入力項目そのものを削除しています。韓国メディアの中にはこの部分を間違えている記事もあり、「韓国政府が修正しようとした」としていますが、実は電子入国申告書の国・地域名の入力項目そのものを削除したわけです。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・事件の始まりは、単純だった。昨年2月に導入された韓国の電子入国申告書が「直前出発地」と「次の目的地」項目で、台湾を「中国(台湾)」と表記した。台湾政府は直ちに反発し、ライチントー総統まで出てきて、韓国に是正を促した。台湾外交部政務次官は「韓国は台湾に大規模貿易黒字を得ている。このような状況で非友好的措置を取るのは、良い動きではない」という言葉を忘れなかった。経済的圧力を、外交的な言語で包装したものだった。韓国政府の解法は賢いものだったが、その賢さが、むしろ問題の本質を表わした。入国申告書の表記を「台湾」に変えたわけでもなく、「中国(台湾)」を維持したわけでもなかったのだ。じゃ、どうしたかというと、該当項目自体を丸ごと削除した。政府はこれを「訪問者便宜の増進のための行政的・技術的措置」と説明した。中国も、台湾も、どちらも正面から刺激しないという計算だった。

外交関係者たちの間では、この措置を置いて、「全員をなだめようとして、誰も満足させられなかった典型的な戦略的曖昧さ」という解釈が出た。そして、実際にそうなった。中国はすぐに「一つの中国原則に従って適切に処理せよ」と要求し、王毅外交部長の訪韓日程も、当初は今年3月までとされていたのが目標だったが、何の話もなく後回しにされた。王毅部長は、韓国の代わりに平壌を先に訪れた。韓国外交部は「台湾表記の削除と訪韓の遅延は関係ない」と解明したが、単純な偶然だと納得するには、タイミングがあまりにも明らかだ・・・・外交では、否認は時々認識よりも多くを教えてくれる。今回の問題の核心は、表記問題ではない。行政の間違いの一つが、中国と台湾の両方から同時に圧力を受ける構造的脆弱性を露出させたという点だ。




韓国は中国と交わりながら「一つの中国」の立場を公式に認めた。同時に、台湾とは非公式ではあるが実質的な協力関係を維持し、半導体サプライチェーンと貿易で緊密に絡み合っている。これら2つの関係は本質的に、緊張した状態にある。その緊張を戦略的曖昧さで管理してきたのが、長い間、いままでの韓国外交のやり方だった。問題は、あいまいさの空間がますます狭くなっているということだ。米中戦略競争が激化し、台湾問題の緊張が高まるほど、中国は韓国に対してもっと鮮明な選択を要求することになるだろう。THAAD問題もそうだったし、今回の電子入国申告書に関する論議もまた、その延長線にある。 「中国(台湾)」の四文字をめぐる騒ぎが、実は韓国外交戦略の根本的ジレンマを圧縮しているわけだ・・

・・外交で、「削除」は戦略ではない。決定を回避する戦術にすぎない。そんな戦術は、繰り返されるほど、信頼を失ってしまう。中国にも、台湾にも、そして韓国自らにも。戦略的曖昧さは、選択を留保するものではない。それは矛盾する利害関係を管理するために意図的に設計された立場でなければならない。どの地点までは柔軟に対応し、どこから明確な基準を立てるか、それについての判断が必要である。韓国は今、その設計を再びしなければならない時点に来ている。入国申告書問題がくれる教訓が、まさにそれだ(韓国日報)・・>>

 




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