韓国外交関係者「米国にとって半導体は『安保』だが、韓国は『経済』として話を進める。だから、話がズレる」

本ブログ、前から「韓国は『経済安保』というものがちゃんと理解できないでいて、『経済』と『安保』をそれぞれ別のものとして考えている」と書いてきました。5月にバイデン大統領が訪韓した頃、やっと「経済と安保が一つになりつつある」とする記事が増えましたが、まだまだ「経済は経済だから中国に、安保は安保だから米国に任せよう」とする論調が強いのが現状です。

そんな中、珍しく、『韓国経済』に、同じ問題を指摘する内容がありました。ある外交関係者の言葉として、「米国は半導体を安保として見ているのに、韓国政府は経済と見ている。だから、話が合わない」、と。そう、政府だけでなく、全般的にこういう雰囲気です。しかし、このような指摘があるにもかかわらず、まだまだ経済は経済、安保は安保とするのが一般的な今日この頃。韓国大統領室は「チップ4」関連で、どの協力体制(グループ)とどのような協力をするかはまだ決まっておらず、米国とも中国とも協力していくと話しました。マスコミなどで一般的に使う「チップ4」という単語は使わなかった、とのことです。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・米国は、中国を半導体サプライチェーンから外すために韓国、台湾、日本にいわゆる「チップ4同盟」を提案し、韓国政府に今月末までに回答を要請した状況だ。国内半導体企業の中国輸出比重が高い状況で、韓国政府の産業外交力量が試されている中、米国が誤解してもおかしくない発言が大統領室から出てきて、懸念の声が大きくなっている。6日、半導体業界と政治関係者たちによると、大統領室関係者は去る4日、龍山(ヨンサン)大統領室庁舎ブリーフィングで、ペロシ議長と尹錫悦(ユンソンニョル)大統領との通話内容を尋ねる多数の記者たちに、「チップ4問題は取り上げられなかった」と明らかにした・・

・・連合ニュースによると、大統領室の関係者は、「米中葛藤が激化する中で、韓国がチップ4に加入するのか」という質問を受け、「どの議で、どの協議体を通じて協力を話すか、まだ会ったこともなければ、いつ会うかも決定していない」とし、具体的な答えを避けた。また「米国だけでなく、オランダ、台湾など半導体で世界最高の能力を持つ国々と善意の競争をすることが、私たちの半導体の未来に役立つ」と説明した。

 

特に、「中国ともオーダーメード型半導体サプライチェーンの協力を継続し、米国を含む周辺国との半導体協力の議論にも参加するが、形式と内容は次第に議論する予定」とし「それ(チップ4)は、誰かが誰かを排除するためのものではない」と規定した。この関係者は、「チップ4同盟」の代わりに「半導体協議」という表現を用いた。中国を刺激しないための言葉の選択だと思われる。政府がこれまで「チップ4同盟」という表現を使わなかったのはあるが、「中国とオーダー型の半導体協力」をするという表現は初めてで、外交・半導体業界関係者たちがその波長に注目している(韓国経済)・・>>

 

記事は、日本と米国の半導体協力は日々前に進みつつあり、台湾もチップ4加入に肯定的だとしながら、韓国の半導体業界関係者たちの「台風に漂流する船に載っている気分だ」「もう企業側でできることは何もない」などの言葉を紹介しています。ある業界関係者は、いわゆるチップ4に加入しなかった場合、韓国に素材・部品・装備(韓国で言う、いわゆるソブジャン(素部装))の供給が完全に絶たれる恐れがあるとし、現実問題として、「半導体機器関連で、上位4社のうち3社が日本・米国の企業」、「核心技術は米国を必ず経なければならない」などと指摘し、「今この時点で中国と協力をするという政府関係者の発言は、危険すぎるというのが業界の認識だ」と指摘しています。

この側面、『現実的に、中国から離れることができない』とする主張と、相反するものであります。『現実的に、日米から離れることができない』というわけですね。また、先も書きましたが、米国は半導体を核のような『安保』として見ているのに、韓国政府は経済として話をつけようとしていて、そこで話がずれてしまうという指摘もあります。「米国は半導体を『安全保障』と認識しているのに、我々は『経済』としてアプローチしている」、と。

 

記事本文もそうですが関係者たちが驚いているのは、『このタイミングで中国とオーダーメイド協力を強化すると言うかー!』なところですが、ここで一つ、7月31日の過去エントリーでも紹介しましたが、すでに韓国の保守側ケーブルテレビ局が「外交当局が、米国と中国の両方の反発を最小化するために、チップ4参加に反対している中国には、韓中間のサプライチェーン強化を提案することが明らかになりました。具体的に関連した案が公開されたのは今回が初めてです」と報じています。 <<・・中国とは、先端素材などのサプライチェーンを強化する協力方案を肯定的に議論中であることが確認されました。また、外交情報筋によると、「中国とのサプライチェーン安全管理チャネルを強化、韓国企業の中国進出と中国への投資活性化が成し遂げられる代案を設けている」とのことです(チャンネルA)・・>>、とも。

さて、わざわざ台湾を訪問してから訪韓したペロシ議長との電話会談で、わざわざチップ4の話はしなかったと発表した大統領室。尹大統領および大統領室からすると、「賢い」つもりかもしれませんが・・韓国経済の記事に載っている『業界関係者』の話には、こういうのもあります。「(日米から離れてしまうことに比べると)中国から得られる利益は、短期的なものにすぎない」。

 

 

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