韓国、未分譲住宅が1年で3倍急増・・マンションは「2500万円割引」「契約しれくれる方に外国車をプレゼント」の状態に

最近よく取り上げていますが、韓国ではマンションを買うためには『買う権利』である分譲権から手に入れなければなりません。そのためには「請約」による優先順位の獲得はもちろん、抽選までクリアーしなければなりません。請約に関しては10日に書いたばかりですが、まだ未読の方はお読みください。しかし、そんな中でも、予定していた物量が売れない、いわゆる未分譲はあります。一般住宅ならともかくマンション団地のような場合は、プロジェクト・ファイナンスなど、ちゃんとプロジェクトが完成する、少なくともある程度は売れるという前提で資金を集めてマンション団地を作ったので、未分譲物件は、そのまま会社ごとアウトのリスクになります。

未分譲物件が負担になるのはどこでも同じでしょうけど、このようにそもそも計画して、売って、作るというプロセスそのものがもう特有な状態になっているので、未分譲の数は韓国の建設市場において格別な意味を持ちます。マネートゥデイの記事によると、未分譲(マンションだけでなく、世帯数で)が5万世帯を超えると、本格的に市場が凍りついたことを意味する、とのことです。で、その未分譲が、世帯数基準で4万7217世帯と集計されました。わずか1年間で、3倍に増えた数字です。未申告の分もあるので、実際は6万世帯は超えているだろう、とも。

 

結局、分譲価格を2億5000万ウォン値下げしたり、契約してくれる人には外国メーカーの車をプレゼントしたり、涙なしには語れない状態になっている、とのことでして。先に分譲した(契約まで済ませた)人たちが、『安く売るなら、先に買った人たちにも同じ条件を適用しろ』とおこっている、とも。記事は、そこまでして未分譲を解決しないと、もう関わった各会社がそのまま倒れるしかないと指摘しながら、『臨界点は近い』としています。

ちなみに、未分譲といっても、まだ完成していない物件もあるし、完成した状態のもあります。前者を「請約未分譲(請約未達)」、後者を「竣工後未分譲」とも言います。他の国なら、ほとんどが後者のはずですが、韓国では竣工前の販売が基本なので、前者のほうが多いでしょう(私見です)。ソース記事ではこれといって区分していません。契約のとき契約金を、そのあと中途金を、最後に残金を支払うことになっているので、とにかく契約まで成立すればなんとかなる、という売り方をしている、という内容になります。

 

契約物量が少ないなら、団地の規模を調整すればいいじゃないか、という考え方もできますが・・それが、難しいと言われています。既存契約のこともあるし、「プロジェクト」段階で資金を集めてあるので、そう簡単に変更はできません。記事も、「今からでもプロジェクトを取り下げることができるなら、まだマシだ」と書いていますし。

資金を集めた施行会社(プロジェクトを総括管理する会社)もそうですが、工事代金がもらえない建設会社(実際にマンションなどを建てた会社)も、もうこれでは耐えられません。それに、前にも書いたことがありますが、建設会社も「信用補強」、すなわち資金集めに保証として参加する場合が多いので、なにかあれば、プロジェクトに参加した全ての会社にリスクが広がります。ちなみに、このように、『いまは債務とみなさないけど、条件によっては一気に債務になる』ものを『偶発債務』として管理したりします。以下、<<~>>が引用部分です。

 

<<・・全国の未分譲は10月基準で4万7217世帯で1年前(1万4075世帯)に比べ3倍以上増えた。 ソウルは同期間、44世帯から855世帯で20倍近く増えた。未申告物量まで合わせれば、全国未分譲はすでに6万世帯にはなるだろうというのが、業界の分析だ。分譲業界は、通常、未分譲が5万~6万世帯を超えれば、沈滞期が本格化したものとみる・・

・・(※いくつかのマンション団地の事例のあとに)これらの団地は、請約が未達となり、当選した人たちも契約をしない人が多く、多くの未分譲が発生した。いまは入居者募集公告の取り消しを検討中だ。沈滞が長期化すると予想しているからだ。でも、今からでも事業を取り消すことができる状況なら、それはまだいいほうだ。すでに分譲中の団地は、未分譲の分を何とかするために出血大サービス中だ。すでに契約金分納制、バルコニー拡張工事無料、中途金無利子などは一般的になった。申請するだけでもデパートの商品券を贈ったり、抽選を通じて外国車、家電製品などを提供する破格の特典が多い。

 

涙の割引販売に入った現場も多い。割引分譲は、分譲業者が使える最後のカードと言われている。マンション団地「ウンジョン・プルジオパークライン」は、現在、初期供給当時の分譲価格8億ウォン台より、最大2億5000万ウォン安く分譲中だ。ソウルとて例外ではない。江北区の「カンタビル・スユパレス」は一部タイプを最大15%割引し、最初の分譲価格より1億ウォン以上低い価格となった。ここに管理費を代納、2住宅以上契約の場合は取得税を一部支援するという条件まで付けた(マネートゥデイ)・・>>

記事は、「来年1月までに一般分譲物量の半分だけでも売れないと、ばPF(プロジェクトファイナンシング)を一部返済、建設会社に代金も与えることができない」と話す、ある施行会社関係者の言葉を紹介しています。「会社が倒れる臨界点まで、あまり残っていないわけだ」、とも。さぁ、どうでしょうか。ケース・バイ・ケースだとは思いますが、住宅担保ローン金利がすでに第1金融圏でも7%台に入ったと聞きます。外国車につられてマンション買う人がどれぐらいいるのでしょうか。

 

 

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