韓国建設業界5位の大手企業に、流動性リスク・・相次ぐ手抜き工事で「骨なしマンション」とも

7月12日、手抜き工事による問題が相次いでいる、とエントリーしたことがあります。本ブログは、よほど大きなものでないとこういう事案はあまり取り上げないので、いくつかをまとめて紹介しました(7月12日のエントリー)。「柱などに入れるべき鉄筋が、設計図で50%消え、実際の施工で残った分の50%が消える」とか、マンション団地一つをまるごと再施工することになった、などの内容でした。特に、LH(住宅公社)など、公企業が管理する建設でも同じことが相次いでいる、とも。業界5位(詳しくは「5大建設会社の一つ」で、実際に4~6位の間にあります)とされる大手建設会社「GS」のマンションブランド、「Xi(ザイ)」が特に話題になっています。

今日、また複数のメディアがまたもやXi関連のニュースを報じました。その一部には「スンサル・Xi」という言葉が書いてあって、ちょっと笑ってしまいました。なんと、SBSなど地上波も、です。スンサル・チキン、骨なしチキンから来た言葉です。日本語にすると「骨なしマンション」になるでしょう。鉄筋などが無い、という意味です。今回は、16本の柱のうち、15本に補強鉄筋が入ってなかった、とのことでして。さすがに一本も無いとは思えませんが。

 

一時は「起承転鶏(キスンジョンダック)」といって、なにをやっても結局はフライドチキン屋をやるしかないとまで言われていたチキン大国ならではの呼び方・・かもしれません。また、同じくSBSが記事1記事2記事3で報じている内容によると、同じXiシリーズの別のマンションでは(※結構高価なところだと聞きました)地下駐車場が冠水、「白熟(サムゲタンのようなもの)Xi」、「ウォーターパークXi」など、ザイシリーズがどんどん増えています。言うまでもなく、GS建設そのものに対して流動性リスクが指摘されるようになりました。以下、SBSと毎日経済(毎経)エコノミーの記事から、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・4月、仁川の新都市マンション建設現場で地下駐車場が崩壊する事故が起きました。調査結果、総体的な手抜き工事が明らかになり、GS建設の代表ブランド「Xi」の評判は地に落ちました。駐車場の天井を支える柱の補強鉄筋は、設計からどんどん抜けていきました。さらに施工過程で、ただでさえ足りない鉄筋を取り除きました。さらには、コンクリートの強度も不足していました。しかし、監査の過程で問題は明らかになりませんでした。文字通り、総体的に問題があったわけです・・・・サラリーマンたちが利用する掲示板には「スンサル・ザイ」という言葉まで出てきました。鉄筋を抜いて施工したマンションを、骨のないチキンと表現しているわけです(記事1)・・>>

 

<<・・ソウル江南(カンナム)ゲポ地域のザイ・プレジデンスマンションは、黄土色の泥水が歩行路まで流れ込み、足首の高さまで冠水しました。公共コミュニティ施設の白い大理石の床も、水で溢れています。地下駐車場の天井では、雨水が漏れています。GS建設は施工上の問題ではなく、コミュニティ施設の入り口側が地帯が低かったのが理由だとしています・・・・入居して3ヶ月経っていない新築マンションで浸水が繰り返され、ウォーターパークザイ、白熟ザイという名まで付け加えられました(記事2)・・

・・昨年4月に入居が始まった南陽州のマンションです。LHが点検したところ、地下駐車場の一部の柱から補強鉄筋が無いことが確認されました。マンション地下駐車場の柱16本を確認しましたが、15柱から補強鉄筋が抜けたことが分かりました。先に崩壊事故があった仁川のマンションと同じ構造です。天井を支える壁がなく、柱が天井の重さに耐えるようになっている構造であり、補強鉄筋を入れて建築しなければなりません(記事3)・・>>

 

建設業界5位とされるGSに建設。財閥グループGSの主力の中の主力の企業ですが・・株価は一時から40%下がっており、PF関連問題もあって、一部からは流動性リスクが指摘されるようになりました。PF関連問題など、いまの韓国建設業界からして、GSのような大手に何かあった場合、その結果はとんでもないスピードで広がっていくことでしょう。ここからは「毎日経済エコノミー」の記事からの引用です。

 

<<・・再施工による費用負担などで、信用等級が下落する見通しが出ており、証券価格もGS建設目標株価を一斉に下方調整している。また、プロジェクトファイナンシング(PF)の返済リスクも残っている・・・・株価が急落し、実績リスクが高まり、今年4~6月期の営業赤字を予想する分析も出てきた。GS建設営業利益が赤字転換すれば、9年ぶりだ。GS建設株価は去る7月10日、場中1万3370ウォンだった。52週最高価が3万3500ウォンだった点を勘案すれば、約40%水準だ。今年初め(1月・2月基準で2万50ウォン)と比べると33.3%下落した・・

・・雰囲気がこうだから、建設業界ではGS建設の資金調達についても懐疑的な見通しが多い。各種問題、建設景気が低迷した状況。信用等級さえ下落した場合、PF支給保証に対する借り換え発行が容易ではなくなる可能性があるという分析だ・・・・ただし、GS建設は会社の流動性に問題が発生する可能性があるという市場の懸念には同意できないとしている(毎日経済エコノミー)・・>>

 

さて、どうでしょうか。繰り返しになりますが、いまGS建設のようなところに何か問題が発生した場合、『ドミノ(将棋倒し)』展開になる可能性は高いです。ただでさえ何かあればすぐ危機説が出てくる中、また一つ危機説が増えてしまいました。というか、危機説多すぎないでしょうか、これ。

 

 

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