日経平均が最高値を更新するなど、日本では株式市場の動きが大きな話題になっています。韓国メディアもこれを大きく報じており、本ブログでも何回も取り上げました。その中でも話題だったのが、政府の「企業バリューアップ政策」です。PBR(Price Book-value Ratio、株価純資産倍率)改善など日本の政策をベンチマークして、2月中に発表するというものでした。ただ、これも本ブログで紹介しましたが、専門家からは「日本は10年以上前から努力してきた(急にできることではない)」「日本企業は資金に余裕があった」「日本は、PBR改善『だけ』で改革を成し遂げたわけではない」などの反論もありました。
個人的に驚いたのが、2月に「2月中に発表します」と発表されたことです。その前にはPBRという単語すらあまり見たことがないのに、急にどうした、と。そして26日、一応発表されましたが、ソース記事の「ビズウォッチ」曰く、市場からの評判も思わしくない、とのことでして。記事は、一見すると日本の政策と同じ、バリエーションをちょっと増やしたものに見えるが、企業ガバナンス構造改革、理事会関連など、必要とされてきたことが何も入っていない、としています。記事は、『日本とどこがどう異なるのか』としながら、ユン政権の企業バリューアップ政策の問題を指摘しています。
22日にも企業ガバナンス関連を取り上げたことがあります。ザ・スクープという別のメディアでしたが、「ガバナンスの話は単に所有権の話ではない。持株会社だろうと基金だろうと総帥一家だろうと、企業の運営を合理的に、そして透明に判断し、その情報を株主たちと共有するシステムを作ることである」「韓国企業の場合、企業の合併など重要な案件すらも、総帥一家が決めてしまい、株主おろか、一家の間でも共有されない、そんな企業風潮が一般的だ」とし、日本のような改革ができるのかと疑問を提起していました(詳しくは22日のエントリー「韓国メディアが見た、ウォーレン・バフェット氏が日本の株を購入した理由」を御覧ください)。22日に取り上げたソース記事も、このようなガバナンス対策なしにPBRPBRと政策を出したところで、日本のようなことを成し遂げることは難しい、としていましたが・・今回の発表に、そのような内容はありませんでした。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・政府が発表した企業バリューアップ政策が、連日資本市場で話題だ。参考にしたという日本と同様に、企業の「自律性」に重点を置き、「インセンティブ(※やらなかった方へのディスアドバンテージではなく、やった方へのアドバンテージ)」として参加を誘導することにした。日本の政策は、韓国政府がベンチマークするほど注目を集め、日本証券市場も最高値で答えた。一方、日本に沿って企業バリューアップを導入した韓国政府の政策の評価は、思わしくない。何が異なるのだろうか。専門家たちは、前から企業ガバナンス改革で理事会が一般株主にも充実できるよう基盤を固めてきた日本とは異なり、韓国の改革は初期段階にとどまっていることを指摘する・・
・・日本は、上場規定のうち企業行動規範において、「一般株主保護のための役員(理事または監事)を1人以上確保するようにした。勧告ではなく遵守事項だ。これを2021年ガバナンスコード改正を通じてより強化したのだ。核心は「一般株主と利害矛盾が発生する恐れがない者」を選ぶようにしたことであり、これを上場会社が判断しなければならない。日本がこのような規定を作ったのは、2年後に発表した日本版バリューアップ支援案(資本費用と株価を意識した経営措置)を実質的に作動させる原動力となった。 いくら良いインセンティブでバリューアップ政策参加を誘導しても、参加するかどうかを決めるのは結局は理事会の役割だからだ。ルールを作る前に、公正な選手たちを選ぶように事前ビルドアップ作業をしたのだ・・
・・これとは異なり、国内証券市場は、大きな枠組みの企業ガバナンス改編政策なしで、バリューアップ支援案を出した・・・・イギリスのヘッジファンド・ヘルメスのジョナサン・パインズ、アジア(日本以外)シニアポートフォリオマネージャーは、「日本の『柔らかい』アプローチが成功した理由は、支配株主がほとんどなく、小額株主保護装置が正常に機能しており、持分以上の利益を得る支配株主を代弁する利益集団がないためだ」と明らかにした(ビズウォッチ)・・>>
簡単に言うと、『結局、大企業にはなにも言えなかった』といったところでしょうか。そして、『日本は、日本だからできた』、と。個人的に、この件でもっとも驚いたのは、2月にあんなに大きな話題になっていた案件なのに、いざ26日に発表されてからは、これといって話題になっていない点です。内容の問題でしょうか、それとも、日本をベンチマークして発表したからもういい、と発表だけで満足しているのでしょうか。
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